一つの判断ミスにとらわれていませんか? −第108号−

技術レベル:★★★☆☆
判断に関する相談の傾向として多いのが、ポゼッションやビルドアップ時の判断についてです。
つまり、守備陣形が整った相手に対し、GKやDFからボールをつないで崩していこう、という場面です。
このような場面では、パスをつなぐなどして、相手の守備のほころびを生み出すようなプレーを選択することになります。
テンポ良くパスをつないで相手を崩し、ゴールを決めることができればカッコいいですよね。
しかし実際には、そんなプレーはめったにお目にかかれません。
現実問題として、ポゼッションやGK、DFからのビルドアップが、そのままゴールに結びつく確率は、あまり高くないのです。
これに対し、ゴールに結びつく確率が高い場面は何かと言うと、ズバリ!「速攻」の場面です。
サッカーのゴールのほとんどが、マイボールになってから3〜4本以内のパスでシュートに持ち込んだものです。
この事実は、スペイン代表にも当てはまります。
ポゼッションの得意なスペイン代表ですら、ほとんどの得点は、何本もパスをつないだ後のシュートではなく、マイボールになってから数本のパスでシュートに持ち込んだプレーから生まれています。
また、南アフリカW杯で、ドイツが圧倒的な得点力を誇ったのも、手数をかけないカウンター攻撃の賜物でしょう。
私が気になっているのは、ポゼッション、ビルドアップ時の判断にとらわれ過ぎて、得点効率の高い速攻時の判断をおざなりにしていないか?という点です。
なぜ、得点率の高い速攻時ではなく、得点率の低いポゼッション、ビルドアップ時の判断にとらわれ過ぎてしまうのでしょうか?
私は、判断ミスをした時の記憶の残り方の違いが原因だと考えています。
ポゼッション、ビルドアップ時に判断ミスによりボールを失うと、相手の速攻(=大ピンチ)につながってしまいます。
このため、ポゼッション、ビルドアップ時のミスは、「大きなミス」として記憶に残ります。
これに対し、速攻時のミスは、主に「得点のチャンスをつぶしてしまった」という結果になります。
ボールを失い相手ボールになっても、相手の陣形が整っていないため、前者に比べて相手の速攻(=大ピンチ)ににつながることは少なくなります。
(※ただし、あまりに悪い失い方をすれば、「速攻返し」を受けることもあります)
このため、速攻時のミスは、「大きなミス」と感じる人が少ないのだと思います。
中には、前線にパスを出せば速攻になる場面で横パスを出し、「パスをつなげたのでOK」と、判断ミスをしたことすら気付いていない人もいます。
しかし、本人がどう感じるかは別として、得点のチャンスを1つつぶしているわけですから、現実的にはポゼッション、ビルドアップ時のミスと大差はありません。
サッカー・フットサルは、パスをつないだ本数で得点が決まるわけではありません。
相手ゴールにボールを入れて初めて得点になります。
得点力アップに一番効率的な方法は、得点しやすい場面を、確実に得点に結びつけることです。
そのためは、速攻時のプレー、バイタルエリアでのプレーなど、得点しやすい場面でのプレーの精度を上げる必要があります。
例えば、速攻時には次のようなプレーの精度を上げる必要があります。
<判断力>
・速攻を成功させるための適確な判断力
・ボールを奪った後の速攻を頭に入れながらの守備
<パスの精度>
・速攻のスピードを落とさないパスの精度
・ラストパス(スルーパス、センタリング)の精度
<動き方>
・速攻のスピードを落とさないパスの受け方
・オフサイドにならないパスの受け方
<シュートの精度>
・狙ったコースへ蹴る精度
・色々な場面に対応できるシュートのバリエーション
ポゼッション、ビルドアップ時に判断ミスをすると、確かにショックは大きいものです。
しかし、試合中に訪れる場面は、ポゼッション、ビルドアップだけではありません。
試合中は、様々な場面に対応しなければならないため、一つの場面だけにとらわれてしまうのは、上達を阻害する要因になりかねません。
判断について考える時は、試合全体で考えていただきたいと思います。
そして、その中でも、特にポゼッション、ビルドアップ時の判断が悪いと思うのであれば、その場面にフォーカスして考えても構わないでしょう。
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!!
この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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