上達の可能性を閉ざす決めつけ −第130号−

技術レベル:★★★☆☆
【自分自身に「OK」を出す】
冒頭の「やってもいい事」というフレーズに違和感を感じた人は、なかなか鋭いですね。
「上達するために、やってもいい事」、つまり「やってもいいのに、やっていない事」、「やってもいいのに、やってはいけないと思い込んでいる事」があるということです。
これは、自分自身で上達の可能性を閉ざしていることを意味します。
どんな事があるかと言うと、例えばフリーキック(以下、「FK」)。
FKのキッカーは、チームの中心選手と相場が決まっています。
経験者に混ざってプレーしているような出遅れプレーヤーには、敷居の高いプレーかもしれません。
FKの場面になっても、「自分には関係ない」と思い込んで、ボールの近くに寄ろうともしない。
しかし、「FKを蹴ってはいけない」なんてことは、誰も言っていませんよね?
そう、あなたがFKを蹴ってもいいんです。
FKを蹴れるようになれば、プレーのオプションが1つ増え、プレーヤーとしての価値が上がります。
つまり、その分だけ上達するわけです。
あとは、あなた自身が「FKのキッカー」というイメージに、「OK」を出せるかどうかです。
【新しいイメージにOKを出すことで起こる変化とは?】
「自分はFKのキッカー」というイメージにOKを出したとたん、ある変化が起こります。
それは、「無意識にFKに関する情報を集めるようになる」という変化です。
例えば、試合観戦。
FKのシーンになると、次のようなことを観察するようになります。
どんなコースに蹴るのか?
どんな球種で蹴るのか?
どんなセットプレーのアイディアがあるのか?
壁の作り方はどうなっているのか?
相手GKのポジショニングは?
また、本屋に立ち寄った時、FK特集が組まれているサッカー雑誌があれば、立ち止まって手に取るでしょう。
「FKのキッカー」というイメージにOKを出していない時は、これらの情報は目にも止まらなかったはずです。
それが不思議なことに、「FKのキッカー」というイメージにOKを出したとたん、目に止まるようになるのです。
これは、FKに限ったことではありません。
ドリブル、シュート、アシストといった技術的なものから、戦術、フィジカルまで、全てに当てはまります。
【新しいイメージにOKを出すことで得られる相乗効果とは?】
情報が増えれば、それだけ視野が広がります。
すると、これまでとは違った視点から、サッカー・フットサルを考える事ができるようになります。
これは、サッカー・フットサルの上達に思わぬ相乗効果をもたらします。
例えば、先ほどのFKの場合。
試合観戦でFKのシーンを観察することで、セットプレーの知識が増えます。
知識が増えれば、自然とセットプレーに対する意識が高まります。
すると、実際の試合でも、セットプレーの場面で、集中を切らすことなくプレーができるようになるのです。
あなたがFKのキッカーであれば、集中できるのは当然ですが、キッカーでなくても、集中力が高まります。
例えば、ゴール前でセンタリングを合わせる立場であれば、
どうやってマークを外すか?
二アにボールが来た場合、どんな展開になるか?
ファーにボールが来た場合、どんな展開になるか?
クリアされた場合、どこにボールがこぼれるか?
このように、先の展開まで考えられるようになります。
先の展開まで考えているプレーヤーと、行き当たりばったりのプレーヤーでは、どちらがゴールを決める確率が高いかは、言うまでもないでしょう。
また、FKのキッカーを目指すのであれば、当然キックの練習が必要になります。
何度も何度もボールを蹴ることになるので、ボールの性質をより深く理解できるようになります。
どう蹴れば、どう変化するのか?
どれくらい回転をかければ、どれくらい曲がるのか?
どの部分を蹴れば、飛距離が出るのか?
どの部分を蹴れば、強いボールが蹴れるのか?
もちろん、今まで行ってきたキック練習で、こういったことは掴んでいるかもしれません。
しかし、FKという高い精度を求められる技術を練習することで、より深くボールの性質を理解することができるのです。
このようにして培った感覚は、FKだけでなく、シュートやパスにも活きてきます。
マンネリ化の状態では、「キックの練習なんかしても、これ以上上達しないよ」などと思いがちです。
しかし、少し視野を広げ、FKという新しい分野にOKを出すことで、「やっても無駄」と思っていたキックの練習をするようになります。
すると、「これ以上上達しない」と思っていたキックも、実はまだまだ上達の余地があることが分かります。
これは、キックに限ったことではありません。
ドリブル、シュート、アシストといった技術的なものから、戦術、フィジカルまで、全てに当てはまります。
例えば、「ドリブラー」というイメージにOKを出せば、ドリブルを練習するようになります。
すると、ドリブル技術はもちろん、味方がドリブルしている時のサポートの仕方といった戦術面まで、気が回るようになります。
また、「フィジカルコンディションに優れたプレーヤー」というイメージにOKを出せば、フィジカルトレーニングをするようになります。
すると、フィジカルレベルの向上はもちろん、食事や年間トレーニング計画といった自己管理面まで、気が回るようになります。
このように、新しいイメージにOKを出すことで、新たな視点を得ることができます。
新たな視点からサッカー・フットサルを見ることにより、上達の糸口が発見できることも多々あります。
あなたには、「やってもいいのに、やっていない事」、「やってもいいのに、やってはいけないと思い込んでいる事」はありませんか?
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!!
この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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