ボールを持って慌てる人と、余裕のある人の違いとは? −第139号−

技術レベル:★★★☆☆
試合中や実戦練習の中で、ボールを持つと、相手に簡単に寄せられてしまう人と、相手がなかなか飛び込めない人がいます。
同じ位置で、同じくらいのスペースがあり、同じ様なスピードのパスを受けているにも関わらず、このような違いが生じます。
両者の違いは、一体何なのでしょうか?
技術やフィジカルといった「能力の違い」というのも、1つの要因でしょう。
しかし、他にも要因があると、私は考えています。
それは、ボールを持った時の姿勢です。
ここで言う「姿勢」とは、背格好のことではなく、「心の持ち方」のことを言います。
ボールを持つと、相手に簡単に寄せられてしまう人は、「自分の所でチャンスを作る」という気持ちが低いように感じます。
ボールを持っても、最初から「逃げの姿勢」なのです。
こういった人は、「ボールを失わないこと」を真っ先に考えるため、プレーの選択肢は、パスが最優先になります。
これだと、ボールを受ける前に、パスコースが確保されていればいいのですが、そうでないと、とたんに慌てることになります。
また、フリーの状態でも、パスコースがなければ、相手から逃げるようなボールの持ち方になります。
前方にパスコースがなければ、バックパスという無難な選択肢を選びます。
ある程度経験を積んだDFには、このような心理状態はすぐにバレてしまいます。
そして、「コイツは、自分では仕掛けてこない」と分かれば、飛び込みやすくなるため、積極的にプレスをかけて来ます。
その結果、ボールを持つと、相手の寄せが速くなり、ますます余裕を持ってプレーできなくなってしまうのです。
これに対し、ボールを持つと、相手がなかなか飛び込めない人は、「自分の所でチャンスを作る」という気持ちが強いのです。
つまり、「攻めの姿勢」でボールを持つのです。
こういった人のプレーの選択肢には、パスもあればドリブルもあります。
ボールを受ける前に、良いパスコースが確保されていれば、パスを選択しますし、そうでなければ、ドリブルを仕掛ける覚悟があります。
だから、ボールを受ける前に、パスコースが見つからなくても、慌てることはありません。
ボールの持ち方も、自然と相手に向かっていくような持ち方になります。
すると、相手には、「うかつに飛び込めば、かわされてしまう」という印象を与えることができます。
その結果、相手と一定の間合いが確保できるため、落ち着いてプレーできるようになるのです。
前者は、「ボールを失わないように」という逃げの姿勢が、皮肉にも相手につけ入る隙を与え、逆にボールを失いやすい状況を作り出しています。
後者は、「ボールを失うかもしれないが、自分の所でチャンスを作る」という攻めの姿勢が、相手に脅威を与え、逆にボールを失いにくい状況を作り出しています。
ボールを持った時の姿勢の違いが、これだけプレー環境に影響を与えているのです。
現在は、ワンタッチ、ツータッチでパスを回すようなサッカーの人気が高いため、パスを最優先に考える風潮があります。
しかし、パスもドリブルも、「相手を崩すための手段の1つ」というのが、本来の考え方です。
パスを最優先に考えるがために、パスコースが無い状況に慌てているのであれば、本末転倒です。
また、パスを回すよりも、ドリブルを仕掛けた方がチャンスになる場面であれば、ドリブルを選択すべきでしょう。
ボールを持った時の姿勢には、その人の思考パターンが大きく関わっています。
そのため、ボールを持った時の姿勢を変えるには、思考パターンを変える必要があります。
これは、頭で理解しても、本番でいきなり変えられるような簡単なことではありません。
普段から、少しずつ自分自身を洗脳していき(笑)、徐々に変えていくというアプローチになるでしょう。
まだまだお伝えしたいことがあるのですが、長くなってしまうので、続きは次回にお送りします。
(3分で分かる内容でお伝えするのが、このメルマガの趣旨ですので)
次回は、「攻めの思考パターン」を身に付ける方法について、考えてみたいと思います。
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!!
この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
   ←前の記事に       <サッカー上達法・目次>にもどる       次の記事に→   

inserted by FC2 system