新たな技術を身に付ける時の勘違い −第141号−

技術レベル:★★★☆☆
サッカー・フットサルを始めて1年くらい経つと、「左足(利き足でない足)も使えるようになりたい」という欲求が出てきます。
これは、試合の中で、「左足も使えれば、もっといいプレーができたのに・・・」という経験を何度もしたからです。
このように、「必要性を感じること」は、技術を身に付けるための重要な第一歩です。
必要性を感じるということは、「試合のどの場面で必要なのか?」をイメージできるということです。
すると、自然と練習の質も上がってきます。
必要性を感じて左足のキックを練習している人と、他人から言われたから左足のキックを練習をしている人では、同じ練習をしているようでも、頭の中は全く違います。
必要性を感じて練習している人の頭の中は、「この場面で使いたい」と試合の場面をイメージしています。
他人から言われて練習している人の頭の中は、「左足で蹴る」という動作だけにフォーカスしています。
どちらが試合で活きる技術を身に付けられるかは、想像できるでしょう。
このため、私は、初心者プレーヤーには、蹴り方がどうとか、リフティングがどうとか言うよりも、まず試合をすることをおすすめしています。
まず試合を経験し、「ボールが止められないと、キックができない」、「ボールを正確に蹴れないと、パスがつなげない」ということを、肌で感じていただきたいのです。
その上で、技術練習すれば、より試合で活きる技術を身に付けることができます。
また、練習に対するモチベーションも上がるでしょう。
以前、ある初心者プレーヤーが、「実際プレーすると、やっぱりウィニング・イレブンとは違いますね(笑)」と言っていました。
現在は、TVやゲームなどを通して、サッカー・フットサルとはどんなスポーツなのか、というイメージを持つことができます。
これは非常に大切なことで、良い見本のイメージがあると、自分のプレーとのギャップを感じることができます。
ギャップを感じることで、自分に足りない部分を認識しやすくなります。
こういった意味で、多くの情報を入手できる現在は、出遅れプレーヤーでも、上達しやすい環境が整っていると思います。
話がそれてしまったので、本題に戻りましょう。
さて、左足のキックに対する必要性を感じ、練習をすることにしました。
ここで、多くの人が勘違いすることがあります。
それは、「左足のキックが完成したら、試合で使う」という考えです。
完璧に蹴れるようになったら、試合で使おう。
右足と同じくらい蹴れるようになったら、試合で使おう。
しかし、こんな風に待っていたら、試合で使えるようになるまでに、何年かかるか分かりません。
私は、たとえ未熟でも、練習した技術は実戦(試合、練習試合、ミニゲームなど)で使ってみるべきだと考えています。
なぜなら、実戦で使うことで、できる部分と、できない部分が見えてくるからです。
例えば、インフロントキックの場合、
「20mの距離は通せるけど、25mになると正確に蹴れない」ということが分かれば、25m以上の距離を通すことを目的とした練習をすればいいのです。
「ゆっくり転がしたボールは蹴れるけど、一定のスピード以上になると蹴れない」ということが分かれば、ボールを転がすスピードを上げて練習すればいいのです。
また、キックとは別の技術の未熟さが見つかるかもしれません。
例えば、左足で蹴るには、トラップで左足側にボールを置かなければなりません。
もっともオーソドックなプレーは、左足のインサイドでトラップして、左足で蹴るという流れになります。
ところが、実戦で左足で蹴ろうとしたところ、「左足のトラップで思った所にコントロールできない」ということが判明したりします。
このことが分かれば、左足のトラップからキックという流れで練習すればいいのです。
こういったことは、一人で黙々と練習しているだけでは、なかなか気付けません。
実戦で試したことで、何ができて、何ができないかが分かったのです。
「できるようになったら、試合で使う」というのは、一見正しい考え方のように聞こえますが、実は上達の遅らせてしまう考え方なのです。
もちろん、「全く蹴れないことを自覚している状態でも、実戦で使いなさい」と言っているのではありません。
「蹴れないこと」が分かっているのですから、わざわざそれを実戦で確認する必要はありませんよね。
この場合は、少しでも蹴れる状態にするために、一人練習を積みます。
そして、「少し蹴れるようになったかな」という状態になったら、試してみればいいのです。
また、「いきなり公式試合で使いなさい」と言っているのでもありません。
私の経験ですが、ある公式試合で、右足(私は左利きです)でサイドチェンジをしようとしたところ、ミスキックになりました。
そのボールが相手に渡り、カウンターで失点を喫してしまいました(涙)
そんな失敗を犯さないよう、まずは、練習試合やミニゲームなどの実戦練習で試していくのがいいでしょう。
「実戦で試しながら、技術を身に付けていく」という考え方は、左足のキックに限ったことではありません。
トラップやドリブルなど、あらゆる技術に当てはまります。
ぜひ、試してみてください。
まだまだ伝えたいことがあるのですが、3分でお伝えできる量を超えてしまうので、続きは次回にしたいと思います。
次回は、「新たな技術を身に付けるための練習の組み方」についてお送りする予定です。
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!!
この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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