1対1の練習の効果とは? −第144号−

技術レベル:★★★☆☆
ドリブルの練習メニューの1つに、1対1があります。
2人1組で、攻撃側がドリブルで仕掛け、守備側がボールを奪うというものです。
私も、1対1は、ドリブル上達のために欠かせない練習だと考えています。
しかし、「1対1をやっても、ドリブルで抜けるようにならない」という悩みを持つ人も、多くいます。
こういった人は、1対1の練習の効果、実戦での活用の仕方などを理解しないまま、練習していることが考えられます。
どんなに効果的な練習メニューといっても、「これさえやればいい」という万能の練習メニューはありません。
1対1も然りで、1対1さえやっていれば、試合でドリブルが上手くなる、というわけではありません。
1対1の練習効率を上げるには、1対1の練習効果について知る必要があります。
そこで、今回は、1対1の練習について、掘り下げて考えてみたいと思います。
【1対1の練習と、試合中の1対1は違う】
1対1の練習を行う上で、「1対1の練習と、試合中の1対1は違う」ということを前提として意識してください。
このことを意識して練習しないと、練習効率は大幅に下がってしまいます。
一般的な1対1の練習では、目の前の相手を抜くことだけを考えているだけで済みます。
つまり、ドリブルのことだけを考えていればいいのです。
しかし、試合中は、1対1だからと言って、必ずドリブルを仕掛けるかと言えば、そうではありません。
味方の動き、相手の動き、ゲームの状況などを踏まえ、ここはドリブルがいいのか、パスがいいのかを判断する必要があります。
つまり、ドリブルのことだけを考えていればいい、という訳にはいかないのです。
こう考えると、試合で活きるドリブルを身に付けるには、「試合をすることが1番!」ということになります。
それなのに、なぜ1対1の練習をするのでしょうか?
確かに、試合の中でも、ドリブルをする場面は何度かあります。
しかし、試合だけでは、1人のプレーヤーがボールに触る時間は限られています。
1対1でドリブルを仕掛ける場面などは、90分のゲームの中で、2〜3回程度でしょう。
つまり、90分かけて、たったの2〜3回しか1対1でドリブルを仕掛ける経験を積めないのです。
では、1対1の練習を90分やったら、一体何回の経験を積めるでしょうか?
体力的なことを考慮しても、30回は経験できるでしょう。
その差、なんと10倍!!
同じ時間で、10倍もの経験値の差が出るのです。
これが、1対1の練習をする最大の理由です。
ただし、ここで「1対1の練習と、試合での1対1は違う」という大前提が出てきます。
数字上は10倍と言っても、1対1の練習での経験値と、試合での1対1の経験値を、単純に比較することはできません。
そこで大切なのが、試合で必要な要素のうち、1対1の練習では、何が身に付いて、何が身に付かないかを理解することです。
【1対1の練習で身に付くこと】
1対1の練習で一般的なのは、相手と正対し、一度パス交換してからスタートするというものです。
この練習では、どんなことが身に付くのでしょうか?
私の考えは、以下の通りです。
・ボールを取られない間合い
・勝負を仕掛ける間合い
・相手の体勢を見極める能力
・フェイント(抜き方)の技術
これらは、試合中は、無意識でできなければならない事です。
ドリブルの上手いプレーヤーは、試合中、相手との間合いがどうとか、相手の体勢がどうとか、どういう抜き方をするだとかいった事は、いちいち考えていません。
考えなくても、体が勝手に反応しているのです。
では、どうしたら無意識でできるようになるのでしょうか?
それは、1対1の経験を数多く積むことです。
つまり、1対1の練習は、これらの要素を身に付けるのには、最適の練習だと考えられるのです。
【1対1の練習で身に付かないこと】
逆に、一般的な1対1の練習では、どんなことが身に付かないのでしょうか?
私の考えは、以下の通りです。
・周りの動き(味方、相手共に)の把握
・スペースの把握
・目的を持ったドリブル
・オフ・ザ・ボールの動き
こちらは、状況判断を中心とした個人戦術の要素が並びましたね。
冒頭にも申し上げたように、1対1の練習と試合中の1対1は、その性格が違います。
一般的な1対1では、ドリブルのことだけを考えていればいいので、このような複雑な状況判断は身に付きません。
このことを認識していないと、「1対1の練習をしているのに、試合ではドリブルができない」ということになってしまうのです。
では、どうしたら、状況判断を伴ったプレーが身に付くのでしょうか?
それは、試合経験を積むことと、1対1の練習を工夫することです。
ここまでの内容をまとめると、一般的な1対1の練習で身に付くのは、相手を抜くスキル、ボールを奪われないスキル、
身に付かないのは、状況判断を伴ったプレーということになります。
このことを意識し、1対1の練習を行えば、この練習を、より試合で活かすことができるようになると思います。
・・・と、3分でお伝えできる内容は、ここまでになりそうです。
まだまだお伝えしたいことがあるので、続きは次回にお送りします。
次回は、より試合で活きるドリブルを身に付けるために、1対1の練習を工夫することを考えてみたいと思います。
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!!
この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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