生涯現役・親睦第一・勝敗第二のサッカー活動を通じ人生の生き甲斐を満喫する60歳以上のサッカーチームです。
1対1の練習を、より実戦的にする工夫 −第145号−
技術レベル:★★★☆☆ 前回の内容を少し復習してみましょう。 【1対1の練習の効果とは?】 まず、「1対1の練習と、試合での1対1は別物である」ということを認識することが大切です。 その上で、1対1の練習で身に付くものと、身に付かないものを理解することで、1対1の練習を試合で活かせるようになるのです。 一般的な1対1(※)の練習で身に付くのは、相手を抜くスキルやボールを奪われないスキル、身に付かないのは、状況判断を伴ったプレーになります。 (※一般的な1対1・・・相手と正対し、一度パス交換してから1対1をスタートする練習) ・・・と、ここまでが前回の内容でした。 今回は、1対1の練習を、より実戦的なスキルを高められるようなメニューにアレンジすることを考えてみましょう。 <例1.オフ・ザ・ボールのスキルを身に付ける> 試合での1対1は、ボールを持ってからヨーイドンではありません。 オフェンスは、できるだけディフェンスを引き離してボールを受けようと考えています。 ディフェンスは、逆にオフェンスとの間合いを詰めようとし、あわよくばパスカットすることを考えています。 このように、ボールを受ける前から、すでに勝負が始まっているのです。 このボールを受ける前の駆け引きを、1対1の練習に加えてみましょう。 例えば、こんなアレンジがあります。 オフェンス側にパサーを1人追加し、1対1を行います。 オフェンスは、有利な体勢でパスを受けられるよう、ボールを受ける前の駆け引きを行います。 ボールを受けた後は、通常の1対1になります。 ボール受ける前の駆け引きが上手いプレーヤーは、ボールを受ける前の動きがすでにフェイントになっており、ワントラップで相手をかわすことができます。 ちなみに、元フランス代表のジダン氏は、このようなワントラップで相手の逆を取るプレーが得意でした。 オフェンスは、不利な体勢だと判断したら、パサーにバックパスしてもOKということにします。 こうすることで、勝負を仕掛けるべきか、そうでないかの状況判断のトレーニングになります。 ただし、これだけだとオフェンスが圧倒的有利になってしまいます。 そこで、「3回バックパスをさせたら、ディフェンスの勝ち」というルールを加えれば、緊張感が生まれるでしょう。 <例2.周りの状況を利用するスキルを身に付ける> 試合では、1対1といっても、純粋な1対1という状況は、ほとんどありません。 オフェンスは、味方がサポートに入り、パスコースを作ってくれます。 ディフェンスは、味方がカバーリングに入り、抜かれた後のケアをしてくれます。 試合での1対1は、このような周りの状況も視野に入れながら行われます。 すると、オフェンスは、自分の体を使ったフェイントだけでなく、周りの味方をおとりに使って相手をかわすというプレーも可能になるのです。 この周りの状況を視野に入れる要素を、1対1の練習に加えてみましょう。 例えば、こんなアレンジがあります。 ミニゴールを2つ設置した状態で1対1を行います。 オフェンスは、どちらのゴールを選んでもOKです。 この練習では、オフェンスの圧倒的有利な状況になります。 オフェンスは、一方のゴールを狙うと見せかけ、DFがつられたら、もう一方のゴールへ向かえば、簡単にゴールを決めることができます。 このスキルは、試合でどう活きるのでしょうか? 例えば、サイドでボールを持った時、オーバーラップしてきた味方に相手がつられたのを見計らって、相手の逆を取る。 センターでボールを持った時、サイドに展開すると見せかけ、相手がつられたのを見計らって、センターFWにクサビのパスを入れる。 このように、周りの状況を利用し、相手の逆を取るスキルとして活かすことができるのです。 <例3.目的に応じたドリブルを身に付ける> サッカー・フットサルでは、ドリブルでプレーが完結することはありません。 ドリブルの後には、必ずパスやシュートといったプレーがあります。 ドリブルとは、相手を抜くことが目的ではありません。 パスやシュートといった目的を果たすための手段なのです。 そして、目的を果たすことができるのであれば、相手をキレイに抜ききる必要はないのです。 例えば、日本代表の長友選手のドリブルは、スピードの緩急を使って、相手との「ズレ」を作ります。 そして、センタリングを上げられるだけの「ズレ」が作れたら、相手を抜ききっていなくても、迷わずセンタリングを上げます。 このような長友選手のドリブルは、目的を果たすためのドリブルの典型と言えるでしょう。 このドリブルの目的を、1対1の練習に加えてみましょう。 例えば、こんなアレンジがあります。 1対1と言うと、ゴール前で行い、ゴールを決めたら終わり、という練習が多く見られます。 これを、ゴール前でなく、自分本来のプレーエリアで行います。 サイドプレーヤーであれば、サイドで1対1を行い、センタリングを狙った位置に上げられたらOKということにします。 この時、ゴール前でセンタリングに合わせてくれるFW役がいればベストですが、いなければ、ボードなどターゲットとなる物を置いてもいいでしょう。 この練習では、オフェンスは、「センタリングを上げること」が目的です。 長友選手のように、スピードの緩急を使ってもいいですし、切り返しを使い、逆足でセンタリングを上げてもいいでしょう。 また、ドリブルを仕掛けると見せかけ、相手がドリブルに気を取られた瞬間に、その場でセンタリングを上げるという手もあります。 オフェンスは、ドリブルで抜くためのスキルではなく、センタリングを上げるためのスキルという、より実戦的なスキルを身に付けることができるのです。 FWであれば、ゴール前での1対1になります。 この場合も、相手を抜くことではなく、シュートを打つことにフォーカスすることで、シュートを打つためのスキルを身に付けることができます。 今回、3つの例を紹介しましたが、これらは、あくまでアレンジの一例です。 ここで紹介したメニューをそのまま実践しても、大きな効果は望めないでしょう。 大切なのは、「自分が身に付けたいこと」を考え、「そのためには、1対1をどうアレンジするべきか?」を自分で考える事です。 結局、上達する人というのは、自分で考える人なのです。 上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!! この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^) ←前の記事に <サッカー上達法・目次>にもどる 次の記事に→