生涯現役・親睦第一・勝敗第二のサッカー活動を通じ人生の生き甲斐を満喫する60歳以上のサッカーチームです。
視野を広げる方法 −第146号−
技術レベル:★★★★★ 先日、ニッキさんという読者の方から「相手からプレッシャーをかけられると、ロングパスが出せない」という相談を受けました。 よくよく聞いていくと、ニッキさんのポジションはDFで、プレッシャーをかけられると、次のようなプレーをしているそうです。 ・ワンタッチで簡単にはたく ・バックパスで広い所へ逃げてから、逆サイドに展開する そして、「プレッシャーをかけられた状態では、ロングパスのプレーイメージ自体が作れない」ということです。 まず、ワンタッチで簡単にはたいたり、バックパスで仕切り直す、といったプレーは、DFとしては正解の選択だと思います。 最終ラインでのプレーは、安全第一を基本にしなければならないからです。 その上で、ワンランク上のプレーをするために、プレーの幅を広げたいということなので、非常に前向きな方ですね。 今回は、この相談を通して、プレーの選択肢を広げるメカニズムについて考えてみたいと思います。 【状況判断のポイントとは?】 サッカー・フットサルは、状況判断が非常に大切なスポーツです。 そして、状況判断のポイントは、ボールを持っていない時にあります。 サッカー・フットサルでは、ボールを持ってから「さて、何をしようか?」と考えていたのでは、すぐ相手に寄せられ、ボールを奪われてしまいます。 ボールを持っていない時に、「ボールを持ったら、どんなプレーをするか?」を考えておく必要があるのです。 「ボールを持ったら、どんなプレーをするか?」を考えておくことを、『プレーイメージを作る』と言います。 そして、プレーイメージを作るために大切な作業が、『情報収集』です。 情報収集とは、周りを見て、相手の状況(位置、相手の特徴など)、味方の状況(位置、味方の意図、味方の調子など)、スペースの状況などの情報を集めることを言います。 そして、これらにゲームの状況(スコア、流れ、時間帯など)を加え、「今、何をするか?」を考えるのです。 つまり、状況判断の一連の流れは、以下のようになります。 ボールを持っていない時に周りを見て、複数のプレーイメージを作る。 ↓ パサーの状況を見ながら、ボールを受けるスペースへ移動する。 ↓ ボールを受けたら、プレーイメージの中から最適なものを選び、実行する。 【情報収集の癖】 プレーヤーには、キックやドリブルに癖があるように、情報収集の仕方にも癖があります。 この中には、良い癖もあれば、悪い癖もあります。 良い癖とは、他の人が見ていない場所を見る癖です。 局面を変えるパスを出せるプレーヤーには、良い癖がついていると言えます。 悪い癖とは、情報収集の方向が偏ってしまう癖です。 いわるゆる視野の狭いプレーヤーには、悪い癖がついていると言えます。 キックやドリブルは目に見えるため、分かりやすいのですが、情報収集は頭の中で行われている作業なので、目に見えません。 そのため、あまり他人から指摘を受けることがありません。 つまり、悪い癖がついていても、なかなか気付かないのです。 悪い癖がついていると分かるのは、情報を出力する段階、つまりプレーが実行された時です。 例えば、パスを出した後に、もっと良い位置にいた味方から「出せよ!」と言われ、気付くケースもあります。 また、側から見ていて、「もっと良い選択肢があるのになぁ」と気付いた味方から指摘され、気付くケースもあります。 指摘された時は、自分の状況判断の悪さにヘコむかもしれませんが、自分にどんな癖があるのかを知ることは、大きな前進です。 あなたも経験があると思いますが、悪い癖を直すのは大変です。 悪い癖が出る局面で、今まで見ていなかった方向を意識的に見る、という矯正を根気良く続けていくしかないでしょう。 しかし、悪い癖が矯正されれば、今までよりもプレーの幅が広がることは、間違いありません。 【ニッキさんへのアドバイス】 では、ニッキさんの場合は、どうなっているのでしょうか? ニッキさんは、現在、プレッシャーのかかった状態では、ワンタッチで簡単にはたいたり、バックパスで仕切り直す、というプレーをしています。 つまり、これらのプレーイメージは作れているということです。 しかし、「前線へのロングパス」というプレーは、プレーイメージ自体が作れていません。 これはどういうことかと言うと、「プレッシャーがかかると、前方の情報収集が疎かになる癖がついている」ということです。 プレーイメージを作るには、情報が不可欠です。 しかし、ニッキさんの場合、前方の情報が不足しているため、前方へのプレーイメージが作れないのです。 残念ながら、これは「良い癖」とは言えませんね。 この癖を矯正するには、自分自身のプレーを振り返り、どんな時に、この悪い癖が出るのかを分析する必要があります。 悪い癖が出る局面を自覚するのです。 そして、どんなことをすれば、悪い癖が矯正できるのかを考えてください。 例えば、こんな風に。 ・視野が後方に固まってしまう局面で、意識的に首を振って前方を見る。 ・視野が後方に固まってしまう局面で、前方が視野に入るよう、意識的に体の向きやポジショニングを工夫する。 そして、プレーする際、これらを実行します。 しばらくは意識的に行わなければならないので、違和感を感じるでしょう。 しかし、視野が広がることで、プレーの幅が広がる可能性も、同時に感じることができると思います。 悪い癖を矯正するには、根気が要ります。 しかし、矯正が成功すれば、「何であんなことに悩んでいたんだろう?」と感じることでしょう。 ちなみに補足ですが、プレーの幅を広げるには、技術の向上も必要です。 ロングパスを出したいのに、ロングパスの技術が低ければ、いくら視野が広がっても、プレーの成功はあり得ません。 この点も、お忘れなく!! 上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!! この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^) ←前の記事に <サッカー上達法・目次>にもどる 次の記事に→