ドキドキ、ハラハラしながら試合を観ることの効果 −第150号−

技術レベル:★☆☆☆☆
サッカー・フットサルは、単純に個人の能力(技術、フィジカル)が高ければ勝てるというものではありません。
(よほどチームのレベル差があれば、個人の能力だけで勝ててしまいますが・・・)
試合に勝つには、「試合の流れ(スコア、時間帯など)に応じた個人の能力の使い方」が重要になってきます。
例えばドリブル。
相手にリードされ、1点を取りに行かなければならない状況で、相手陣内でボールを持ったら、どんなドリブルが求められるでしょうか?
このような状況では、相手の守備陣形を崩すような突破のドリブルや、相手を引き付けるドリブルが求められるでしょう。
逆に、1点リードし、残り時間もわずかという状況で、同じようなドリブルをすればブーイングものです。
このような状況では、相手に攻撃のチャンスを与えないために、できるだけマイボールの時間を長くすることが求められます。
そのため、ボールを失うリスクの高い突破のドリブルなどは避けるべきなのです。
ドリブルするにしても、相手陣内のコーナー付近で時間稼ぎのキープするようなドリブルが求められます。
このように同じドリブルという技術でも、試合の流れによって使い方が全く異なります。
ドリブルの技術が高くても、間違った使い方をすれば、チームにマイナスの影響を与えてしまいます。
サッカー・フットサルの上達には、能力自体の向上と共に、能力の使い方も向上させていく必要があるのです。
私は、このような個人の能力の使い方が上手いプレーヤーを、「サッカー・フットサルのやり方が上手いプレーヤー」と呼んでいます。
能力が高く、かつサッカー・フットサルのやり方が上手ければ、こんなに頼もしいプレーヤーはいませんよね。
能力を高める方法は、人から教えてもらったり、書籍やDVDなどの教材から学ぶことができます。
では、サッカー・フットサルのやり方が上手くなるには、どうしたらいいのでしょうか?
一番良い方法は、『試合経験を積むこと』だと思います。
ただし、何でもかんでも試合をすればいいというわけではありません。
練習試合のような、あまり勝敗が重視されない試合の経験を積んでも、サッカー・フットサルのやり方の向上は、あまり期待できないと思います。
なぜなら、サッカー・フットサルのやり方は、「試合に勝ちたい!」という思いがあって、初めて磨かれるものだからです。
そのため、勝敗のかかった緊迫した公式戦の経験を積むことが、サッカー・フットサルのやり方が上達する一番の方法だと、私は考えています。
そして、もう1つの方法が、『感情移入できる試合を観ること』です。
感情移入できる試合とは、ひいきチームの勝敗に一喜一憂するような試合です。
例えば、日本代表のW杯予選。
1点を争うような試合展開になると、ドキドキ、ハラハラしますよね。
このような精神状態で観戦すると、「何が試合の流れに応じた効果的なプレーなのか?」が自然と理解できます。
試合を観ていて、思わず「ナイス!」と言ってしまうようなプレー。
それこそが、試合の流れに応じた効果的なプレーです。
おそらく、それは華麗なプレーでも、派手なプレーでもないはずです。
走るべきところで、スタミナを惜しまず走っている。
プレスをかけるべきところで、スタミナを惜しまずプレスをかけている。
ボールを収めるべきところで、体を張ってキープしている。
ボールを大事にすべきところで、正確にパスをつないでいる。
はっきり言って、地味なプレーです(笑)
地味ですが、効果的なプレーなのです。
このような地味なプレーは、バルサやレアル、スペイン代表やブラジル代表の試合のように、勝敗よりも華麗なプレーを期待するような試合では気付かない部分だと思います。
勝敗にこだわって観戦するからこそ、見えてくるのです。
先日のなでしこジャパンの試合は、正にそんな試合でした。
FWの永里選手は、体を張って前線でボールを収めてくれました。
そのおかげで、永里選手が入ってからの日本は、縦パスがつながるようになり、ポゼッションに余裕ができました。
サッカーに詳しくない私の父でさえ、試合を観ながら、「この娘(永里選手)が入って、落ち着くようになったな」と言っていました。
感覚的に、永里選手のプレーが効果的であることを感じ取ったのでしょう。
MFの大野選手は、試合の序盤、相手陣内でボールを持つと、積極的にドリブルを仕掛けていました。
試合の序盤、パスを思うようにつなげない日本でしたが、その代わり大野選手のドリブルから、いくつかチャンスが生まれました。
MFの澤選手は、リードされ、点を取らなければならない状況で、果敢に相手DFラインの裏へのパスを狙っていました。
延長後半、日本は、澤選手から近賀選手へのスルーパスによってCKを獲得。
澤選手の同点ゴールが生まれたのは、そのCKからでした。
もちろん、試合を観ただけで、サッカー・フットサルのやり方が上達するわけではありません。
感情移入して試合を観ることで、「どんな時に、どんなプレーをするのがベストなのか?」を、頭で理解するだけでなく、心で感じることができます。
そして、普段の練習から、それらの事を意識してプレーすることで、初めて効果が現れるのです。
ということで、日本代表の試合は、ぜひライブで観て応援しましょう。
「変な時間に観るより、録画して好きな時に観た方がいい」とか、「もっとレベルの高い試合の方が勉強になる」というのも一理あります。
しかし、ライブでドキドキ、ハラハラしながら観ることでしか得られないものもあります。
9月から男女ともに五輪予選が始まります。
ぜひ、ライブで応援しましょう!!
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!!
この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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