サッカー・フットサルのスペース活用法(攻撃編) −第158号−

技術レベル:★★★★☆
あなたは、「サッカー・フットサルの上手いプレーヤー」とは、どんなプレーヤーだと考えますか?
テクニックが高い、身体能力が高い、戦術眼がれている・・・など、色々な項目が思い浮かぶことでしょう。 「サッカー・フットサルが上手い=××」と、1つの項目に絞るのはナンセンスですが、重要度の違いはあると思います。
私が重要度が高いと考える項目の1つが、「スペースを有効活用できること」です。 同じテクニック、身体能力を持っていたとしても、スペースの使い方の上手い下手で、プレーヤーとしてのレベルは大きく変わってきます。 これは、攻撃にも守備にも当てはまることですが、今回は「攻撃のスペースの活用法」について考えていきましょう。
サッカー・フットサルの試合では、ボールを持てば必ず相手のプレッシャーを受けます。 このプレッシャーが原因で、「練習でできる事が、試合になるとできなくなってしまう」という人もいます。
そして、 「体勢が崩れた状態でも正確なキックが蹴れるようになりたい」 「相手から当たられても、ボールキープできるようになりたい」 と、フィジカル面の強化を考えるようになります。 確かに、フィジカル面の強化は解決策のひとつではあります。
しかし、もっと簡単で即効性のある解決策があります。 それが、スペースを有効活用することです。 どういうことかと言うと、「タイミングよくスペースに入ることで、相手のプレッシャーを受けない時間を作り出す」ということです。
スペイン代表のシャビ選手やイニエスタ選手のプレーを思い浮かべてください。 おそらく、「相手の当たりを踏ん張りながらプレーしている」という姿ではなく、「フリーの状態で、きれいなフォームでプレーしている」といったの姿が思い浮かぶと思います。 シャビ選手やイニエスタ選手がスペインやバルセロナのキープレーヤーであることは、当然相手も知っています。 それにもかかわらず、彼らは、まるでノープレッシャーであるかのようにプレーしているのです。
なぜでしょうか? その理由は2つ考えられます。 1つは、彼らの技術が高いこと。 そして、もう1つは、タイミングよくスペースに入り、相手のプレッシャーを受けない時間を作り出していることです。
試合中は、立ち止まってパスを受けると、すぐに相手のプレッシャーを受けてしまいます。 相手のプレッシャーを受けずにパスを受けるポイントは、動きながらパスを受けることにあります。 しかし、闇雲に動き回っても、パスが出てこなかったり、視野が確保できない体勢でパスを受けることになってしまいます。
では、シャビ選手やイニエスタ選手は、どのようにしてパスを受けているのでしょうか?
彼らは、パスを受ける前に、自分がパスを受けた後にプレーするスペースをワザと空けています。 そして、味方がパスを出せる体勢になるタイミングを見て動き出します。 そして、ボールのスピードを見極め、自分の走る速度を調節しながら、ボールと自分が丁度スペースで一致するようなタイミングで動いているのです。 もともと空いていたスペースですから、そこでパスを受ければ、一瞬フリーになることができます。 2人とも技術の高いプレーヤーですから、一瞬でもフリーになれば、チャンスに結びつくようなプレーをすることができるのです。
スペースを有効活用するためのポイントは3つあります。
【1.プレーするためのスペースを見つけ、空けておく】
「パスを受ける前に、パスを受けた後にどんなプレーをするのかを考えておく」 これは、サッカー・フットサルの基本です。 そして、そのプレーを実現するためには、「どこでパスを受ける必要があるのか?」を考え、そのスペースを空けておくことがポイントになります。
FWが中央でパスを受けてシュートに持ち込む場合は、パスを受けてターンし、シュートできるだけのスペースを空けておく必要があります。 ボランチが右サイドからパスを受けて、左サイドにサイドチェンジする場合は、パスを受けてターンし、ロングパスを蹴れるだけのスペースを空けておく必要があります。
どれだけのスペースが必要かは、そのプレーヤーの技術レベルによります。 技術が高いほど、必要なスペースは少なくてすむでしょう。
【2.パスの出し手の体勢を見極める】
スペースが見つかったら、次はそのスペースでタイミング良くパスを受けることを考えます。 プレーヤーの方が早くスペースに入ってしまうと、相手のマークにつかまってしまいます。 ボールの方が早くスペースに入ってしまうと、パスに追いつけなかったり、パスカットされてしまいます。 プレーヤーとボールが狙ったスペースに同時に入るよう、タイミングを計ります。
そのためには、パスの受け手は、出し手がパスを出せる体勢になっているかどうかを見極める必要があります。 出し手がパスを出せる体勢になっていないのに動き出しても、パスは出てきません。 パスが出たとしても、プレーヤーの方がスペースに早く入ってしまう状態になるでしょう。 受け手は、出し手がパスを出せる状態になるまでは、そのスペースを狙っている素振りを見せないことが大切です。 そして、出し手の体勢が整ったら、走るスピードを上げたり、声をかけてアピールします。
これは、周りのプレーヤーよりも目立った動きをして、ボールを受ける準備が整っていることを知らせるためです。 出し手は、パスを受ける準備が整っているかどうか分からないプレーヤーよりも、整っていると分かるプレーヤーを選びます。 出し手に分かりやすいアピールをすることで、パスが出てくる確率が高まるのです。
【3.スピード調整】
プレーヤーとボールが狙ったスペースに同時に入るよう、タイミングを計るためには、もう1つポイントがあります。 それは、「走るスピードを調整すること」です。
狙っているスペースが近くにある場合は、パスの出し手の体勢が整うまでは、極端な話、立ち止まっていてもOKです。 もしくは、ワザとスペースから離れるような動きをしてもいいでしょう。 逆に、狙っているスペースが遠くにある場合は、パスの出し手の体勢が整うまで立ち止まっているわけにはいきません。 出し手の体勢が整ってからスペースへ移動を開始しても、パスに追いつけない可能性が出てきます。 この場合は、出し手の体勢が整うまでに、スペースに近付いておく必要があります。
この時、あまり速いスピードで動けば、相手にスペースを狙っていることがバレてしまいます。 狙いに気付かれないようなスピードで、出し手の体勢が整ったら素早くスペースに入れる場所に移動しておくことが大切です。 そして、出し手の体勢が整ったのを見極めてスピードを上げれば、出し手へのアピールになると同時に、マークを引き離すこともできます。
今回は、サッカー・フットサルのスペース活用法の中でも、自分で作ったスペースを自分で活用する方法についてお送りしました。 この他にも、自分の作ったスペースを味方に活用させたり、味方の作ったスペースを自分が活用するする方法もあります。 これらの活用法については、別の機会にお送りしたいと思います。 さて、スペースへの意識が高くなると、攻撃だけでなく、守備のレベルアップにもつながります。
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!!
この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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