メッシのようなプレーをするには、どれだけ練習すればいいのか? −第169号−

技術レベル:★★☆☆☆
「メッシ選手のようなプレーヤーになりたいのですが、どうしたらいいですか?」 こんな質問を受けることが、よくあります。 (最近は、イニエスタ選手や香川選手も多いです。)
メッシ選手のプレーについて、私なりの見解をお話しすることはできます。 しかし、そのことが頭で理解できたとしても、それだけでメッシ選手のようなプレーをすることはできません。 なぜなら、メッシ選手のプレーというのは、「メッシ選手の感覚」に基づいて行われているからです。 これは、メッシ選手に限ったことではありません。 プロからアマチュアまで、全てのプレーヤーが、自分の感覚に基づいてプレーしているのです。
メッシ選手のずば抜けたドリブルの要因の1つに、「ステップワークや体重移動の巧みさ」があります。 こんなことは、メッシ選手のプレーを見れば、誰でも分かることでしょう。 しかし、今のところ、あのドリブルができるのは、世界中でメッシ選手だけなのです。
メッシ選手は、「相手がこう来ているから、こうやってかわそう」と考えてドリブルしているわけではないと思います。 おそらく、メッシ選手に「どうして、あんなドリブルができるのですか?」と聞いても、 「体が勝手に動いているから、分からないよ」という答えが返ってくるでしょう。 イニエスタ選手やシャビ選手に「どうして、あんなパスが出せるのですか?」と聞いても、同じ様な答えが返ってくるでしょう。
彼らのプレーを後付けで解説することのできる人は、たくさんいます。 しかし、重要なのは「その場で、パッとそのプレーが思いつくこと」です。 試合中は、目まぐるしく状況が変わります。 そんな中で、いちいち理論付けて判断している時間はありません。 その場その場で思いついたプレーを実行していかなければ間に合わないのです。 (※「パッと思いつく」というのは、ボールを持ってからプレーを考えるということではなく、ボールを持っていない時に、周りを見て得た情報から思いつくということです。) そして、その「思いつき」は、「プレーヤーの感覚」から来ているのです。
「プレーヤーの感覚」というと、「結局は才能か・・・」と考える人が多いのではないでしょうか? しかし、そう考えるのは早計です。 私は、「プレーヤーの感覚」は、技術、身体能力、経験の3要素で構成されていると考えています。
技術や身体能力が高いほど、思いつくプレーの幅は広がります。 例えば、右足しか蹴れないプレーヤーは、右足を使ったプレーしか思いつきません。 しかし、右足も左足も蹴れるプレーヤーは、両足を使ったプレーを思いつきます。 つまり、思いつくプレーの数は、片足しか使えないプレーヤーの2倍になるのです。
キックの飛距離が30mのプレーヤーは、30m以内のプレーしか思いつきません。 しかし、30m以上のキックが蹴れるプレーヤーは、30m以上のプレーが思いつきます。 つまり、30mしか蹴れないプレーヤーよりも、視野が広くなるのです。
また、色々な経験を積んだプレーヤーほど、思いつくプレーの幅は広がります。 例えば、試合の状況から、「今何をしたらいいのか?」を判断する。 「自分より能力の高い相手に、どう対処したらいいのか?」を判断する。 「自分より能力の低い相手に、どう対処したらいいのか?」を判断する。 「味方の特徴を活かすために、何をしたらいいのか?」を判断する。 挙げればキリがありませんが、経験値が高いほど状況に合ったプレーを思いつきます。
このように、感覚を磨くには、技術、身体能力、経験の3大要素を向上させていくことがポイントです。 そのための手段は、「向上心を持って練習し続けていくこと」です。 極めて地味で当たり前のことですが、これに尽きます。
では、いつまで練習し続ければいいのでしょうか? 例えば、メッシ選手のようなステップワークを身に付ける場合、ステップワークのドリルを行ったり、ステップワークを意識しながらプレーすることになります。 このように意識してプレーしていると、何となく身に付いた気になり、それで満足してしまう人が意外と多いのですが、意識しないとできないようでは、まだまだ身に付いたとは言えません。 さらに、練習を続けていくと、無意識にできるようになります。 目指すのはこの段階です。 つまり、練習は、無意識にできるようになるまで続けるのです。
メッシ選手も、一朝一夕で現在のような感覚を身に付けたわけではありません。 私たちが現在目にしているメッシ選手のプレーは、昔からの練習と経験の結果として生まれているものです。 華麗なドリブルの裏には、20年以上の練習と経験の積み重ねがあるのです。 無意識にできるようなレベルになるには、それ相応の時間が必要なのです。
人間、どうしても「今すぐメッシ選手のようになれる方法」を求めてしまいがちです。 しかし、試合で本当に役に立つのは、付け焼刃の技術ではなく、「感覚」として体に染み込んだ技術なのです。 そして、感覚は、日々の練習と経験の積み重ねによって磨かれていきます。 つまり、今日のあなたの行動が、未来のあなたを作っていくのです。
今日は練習するのか?遊びに行くのか? 今日は苦手な事を練習するのか?得意な事を練習するのか? 今日、あなたは何をしますか?
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!! この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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