ボールを持つと慌てる人の根本的な原因とは? −第178号−

技術レベル:★★★★☆
「試合中、相手のプレッシャーを受けると慌ててしまう」という初心者の人は多いと思います。
また経験者の中にも、「レベルの高い相手だと、プレッシャーが速くて慌ててしまう」という人がいます。
これは、「ボールを持つ前にプレーがイメージできていないこと」が原因です。
サッカー・フットサルでは、ボールを持ってから「さあ、何をしよう?」と考えている時間はありません。
ボールを持つ前に周りを見て「何をするか?」を考えておく必要があるのです。
しかし、「頭では分かっているんだけど、実戦になると何も考えられなくなる」という人も多いのではないでしょうか。
そういう人には、もっと根本的な原因があります。
それは、技術不足です。
速いプレッシャーに慌ててしまうということは、そのプレッシャーの中でプレーするだけの技術が身に付いていないということです。
技術がなければ、そもそも次のプレーがイメージできるわけがありません。
たとえプレッシャーが速くても、ダイレクトパスを出す技術があれば、ボールを持っていない時に、自然とダイレクトでつなげるパスコースを探すようになります。
ダイレクトでパスするプレーイメージがあるため、パスが来ても慌てることはありません。
しかし、ダイレクトパスを出す技術がなければ、来たボールをトラップしてからパスすることになります。
つまり、「トラップ→パス」というプレーイメージしか作れないのです。
トラップすれば、その分相手に寄せられることになります。
当然それだけパスコースは少なくなります。
すると、「パスを受けても、パスコースがない(汗)」となり、プレーイメージが作れず、慌ててしまうのです。
同様に、ボールキープできる技術があれば、相手が寄せてきてもキープできるので、慌てることはありません。
ドリブルで抜く技術があれば、相手が寄せてきても抜くことができるので、慌てることはありません。
つまり、「慌ててしまう」という人の根本的な原因は、ほとんどが技術不足なのです。
それを差し置いて、味方のサポートがないとか、戦術がどうとか言っても始まりません。
味方のサポートがないのなら、味方がフリーになるまでボールキープすればいいのです。
また、プレッシャーの中で自由にプレーできる技術がなければ、そもそも戦術が機能するわけがないのです。
プレッシャーの中で自由にプレーするコツについて元日本代表の金田喜稔は、「利き足を基本としたボールの持ち方が大切」と述べています。
(以下、「サイドアタッカー」本文より引用)
ワールドカップの予選など、ものすごくプレッシャーがかかる試合の中で、人間として本能的にどちらの足でボールを扱うのかといえば、自分の利き足なんだよ。
(中略)
トラップに使う足はどちらでもいい。
そのあとにボールを置く場所が大切になる。
例えば、ロナウジーニョが左足のインフロントでボールを止めるとき、必ず右足の前にボールを置く。
右足のアウトで止めるときも右足の前。
胸で止めるときも、腿で止めるときも、すべて利き足の前にボールを置いている。
常に利き足でボールを触れる位置に、ボールを置くからこそドリブルもパスも、感覚的に違和感のない状態でプレーができる。
(中略)
プレッシャーのかかる試合では、人間は知らず知らずのうちに利き足に頼る。
利き足でコントロールしやすい場所にボールを置くからこそ、プレスをかけてきた相手を、アウトサイドのタッチでかわしたり、インフロントで切り返したり、足の裏で引いたり、浮かしてかわしたり・・・。
そういったとっさのコントロールでの仕掛けやキープができる。
利き足を意識したボールの持ち方ができなければ、そのあとのドリブルもパスも、何も始まらない。
【サイドアタッカー─“キンタ流”突破の極意】http://goo.gl/SGfuX
「利き足に偏ると、プレーが限定されてしまうのでは?」と考える人もいるでしょう。
例えば、右利きのボランチが、右サイドからパスを受け、左サイドへサイドチェンジするというプレーを思い浮かべてください。
この場合、「左足のインサイドトラップで左サイド側へターンし、左足のインフロントキックでパスを出す」というのが教科書どおりのプレーです。
なぜなら、この通りにプレーすれば、視野を確保したまま、相手から遠い足でプレーできるからです。
【図解1】http://soccer-futsal.sakura.ne.jp/178-1.pdf
しかし、左足で蹴れない人が、このようなプレーしたらどうなるでしょう。
無理やり左足で蹴っても、キックミスする可能性が高くなってしまいます。
そこでパスカットされれば、一気にショートカウンターを受けることになります。
つまり、左足で蹴れない人が、左足でしかボールを扱えないような持ち方をすること自体が判断ミスなのです。
ここまで読んで、「やっぱり、片足に偏るとプレーが限定されるじゃないか」と思った人が多いのではないでしょうか。
しかし、少し考えてみてください。
本当に左足で蹴れなければ、サイドチェンジできないのでしょうか?
この場合、右足でボールを扱えるようなボールの持ち方をすれば、サイドチェンジが可能になります。
【例1】http://soccer-futsal.sakura.ne.jp/178-2.pdf
【例2】http://soccer-futsal.sakura.ne.jp/178-3.pdf
(※ここで示しているプレーは、あくまで一例です。プレーヤーのセンスで発想は無限に広がります。)
「左足で蹴れないなら、どうすれば右足でプレーできるようになるか?」と考えることで、新たな発想が出てきます。
つまり、利き足でできるプレーは、工夫次第で広がるのです。
もちろん、両足で同じ様にボールを扱える人は、利き足に偏る必要はありません。
しかし、そんな人は稀で、ほとんどの人が利き足の技術の方が高いというのが現実です。
(両足で同じ様に蹴れる人は私の周りにもいますが、まったく同じ様にボールを扱える人は見たことがありません。)
ちなみに金田さんは、「利き足でない足の練習をするな」と言っているのではありません。
あくまで、「利き足を基本したボールの持ち方を意識することが重要」と言っているのです。
試合中は、どうしても利き足でない足でプレーしなければならない場面があります。
そういう場合は、利き足でない足でプレーせざるを得ません。
そういった時のために、利き足でない足でボールを扱えるよう練習する必要があります。
ここの部分を、勘違いしないようにしてくださいね。
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!!
この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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