スルーパスを出すための3つのポイント −第183号−

技術レベル:★★★★★
スルーパスとは、相手DFラインの裏へ出すパスです。 難易度の高いプレーですが、成功すれば決定的なチャンスになります。 今回は、そんなスルーパスを出すポイントについて考えていきましょう。 一般的にスルーパスというと、「相手DF同士の間(門)にグラウンダーのパスを通す」というイメージが強いと思います。 しかし、今回は「相手DFラインの裏へ出すパス全般」を指すこととします。 私は、スルーパスを出すためのポイントは3つあると考えています。 では、1つずつ見ていきましょう。
【1.状況把握】
スルーパスを出すには、まず周りを見て、状況を把握する必要があります。 状況把握は、基本的にボールを持っていない時に行います。 サッカー・フットサルは、常に状況が変わるスポーツです。 そんな中で良い判断をするには、常に周りを見て最新の情報に更新しておく必要があります。 では、周りを見て、何を把握すればいいのでしょうか? 私は、次の2つのポイントが大切だと考えています。
<1.前線の状況把握>
1つ目は、自分がパスを出す先の状況を把握することです。 スルーパスは、相手DFラインの裏へ出します。 となると、前線の味方と相手の人数と位置関係、スペースの位置、DFライン裏のスペースくらいは、最低でも把握しておきたいところです。 スルーパスの名手である中村憲剛選手(日本代表/川崎フロンターレ)は、遅くともボールを持った瞬間には、前線の状況が把握できているそうです。
<2.自分がパスを受けるスペース>
フリーでパスを受けることができれば、それだけ余裕を持ってプレーすることができます。 特にスルーパスは、パサーと受け手のタイミングが非常に重要になってきます。 パサーが余裕をもってボールを持つことができれば、それだけスルーパスの成功率は高くなります。 フリーでパスを受けるには、自分がパスを受けるスペースを把握しておき、そこにタイミングよく入ることがポイントです。 そのためにも、ボールを持っていない時に周りを見て、状況把握をしておく必要があるのです。 FC.バルセロナのシャビ選手は、自分がボールを持っていない時、常に首を振って周りの状況を確認しています。 1試合を通してシャビ選手を観察してみてください。 他のプレーヤーに比べ、首を振る頻度がズバ抜けて高いことに気付くはずです。 ボールを持っていない時に周りを見るのは、とても地味な作業です。 そんな作業を他人の何倍も行うには、相当な集中力が必要です。 シャビ選手は状況判断に優れたプレーヤーですが、その秘密は「他のプレーヤーよりも周りをよく見る」という、ごく当たり前の作業を徹底して行っていることにあるのです。
【2.予測】
周りを見て状況把握ができたら、2つ目のポイントに移ります。 2つ目のポイントは「予測」です。 スルーパスは、これから味方が移動しようとしているスペースへパスを出します。 今見えている状況に基づいてプレーを考えても、スルーパスを出すことはできません。 周りを見て得た情報から、「自分がボールを持ったら前線の状況はどうなるか?」を予測する必要があるのです。 自分がボールを持ったら、味方はどう動くのか?      ↓ それによって、相手はどう動くのか?      ↓ それによって、どこにスペースができるのか?      ↓ どのスペースに、どんなパスを出せばいいのか? こういった予測は、生まれ持ったセンスもあるかもしれませんが、練習によって身に付けることができます。 そのための練習法を、先週のプレミアム版で紹介しました。 プレミアム版の読者の方は、もう一度読み返してみてください。 プレミアム版を購読されていない方は、バックナンバーをお求めいただけます。 【ポゼッションから攻撃につなげる練習法】 http://www.mag2.com/archives/0001311830/ また、試合観戦を工夫することも練習の1つです。 試合観戦する時は、ボール保持者(ボールホルダー)に注目しがちですが、ボールホルダーよりも前方のプレーヤーに注目してみましょう。 例えば、ボールホルダーがDFならMFやFW、ボールホルダーがMFならFWですね。 ボールホルダーより前方のプレーヤーは、どう動いているのか? その動きに、相手DFはどう対応しているのか? それにより、どこにスペースができているのか? こういった視点で試合観戦を行うことで、予測する感覚を養うことができます。
【3.技術】
状況把握から予測ができたら、いよいよパスを出す段階です。 ここで3つ目のポイントが重要になります。 3つ目のポイントは「技術」です。 ボールを止めて、蹴る。 単純ですが、試合ではこういった基本技術が非常に重要になってきます。 例えば、トラップの技術が高く、自分が蹴りやすい位置に一発でボールを止めることができれば、それだけ余裕を持ってプレーすることができます。 また、シャビ選手やイニエスタ選手のように、狭いスペースしかない中でも、落ち着いてプレーすることができます。 キックの精度が高く、狭いスペースにもパスを通すことができれば、それだけスルーパスを出せる場面が多くなります。 インフロントキックとアウトフロントキックの両方が蹴れれば、右足で右にも左にもパスを出すことができるため、それだけスルーパスを出せる場面が多くなります。 中村憲剛選手は、パスの受け手に応じて球種を変えているそうです。 スピードのあるプレーヤーには、多少長めのパスを出しても追いつくことができます。 ランニング距離が長くなれば、それだけ相手DFを引き離すことができるため、フリーでボールを受けられる可能性が高くなります。 技術のあるプレーヤーには強めのパスを出してもコントロールできるため、強めのパスを出します。 強めのパスは、相手DFにカットされる確率が低いため、それだけスルーパスを出せる場面が多くなるのです。 私には、ここまでのパスセンスはないので、ぜひ参考にしたいところです(笑)
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!! この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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