どれだけ詰められるか!? −第190号−

技術レベル:★★☆☆☆
まず忘れてほしくないのが、初めからこれらのプレーを狙うのではないということです。 自分のマークにパスが出された時、まず考えるのは「インターセプト」です。 (※ただし、例外があるということは、プレミアム版でお伝えしました。) そして、インターセプトができない時は、コントロールミスを狙います。 それもできない時は、前を向かせない守備をします。
なぜ、この2つを同時に取り上げるかというと、そこに至るまでの過程が同じだからです。 どちらも相手にパスが出された瞬間に、間合いを詰めることから始まります。 最終的に、相手がコントロールをミスれば、そこを狙ってボールを奪います。 相手がきちんとコントロールすれば、体を寄せて前を向けないようにします。 このように、相手の反応によって選択するプレーが変わりますが、相手との間合いを詰める過程は同じなのです。 では、まず両者に共通している「間合いを詰める」のポイントについて見ていきましょう。
【1.間合いを詰める時の2つのポイント】
<1.ボールが移動している間に、できるだけ詰める>
「コントロールミスを狙う」、「前を向かせない」プレーができるかどうかは、「相手がボールを持った瞬間、どれだけ間合いを詰めることができているか?」にかかっています。 できるだけ間合いを詰めるためには、常に次のことに気を配っておく必要があります。
1.ボールとマーク相手の位置
2.相手ボールホルダー(ボール保持者)とマーク相手の体勢
マーク相手がボールを持っていなくても、試合中はボーっとしている時間はありません。 マーク相手を観察しながら、「どこでボールを受けようとしているのか?」、「どんなプレーをしようとしているのか?」を予測することが大切です。 予測しているからこそ、いざパスが出た時に、素早く反応できるのです。 「それなら、相手がボールを持っていない時も、ピッタリくっついていればいいじゃないか」と思った人もいるかもしれませんね。 もし試合があなたとマーク相手の2人だけの勝負なら、それでも良いかもしれません。 しかし、サッカーは11対11の勝負です。 ポジショニングを無視して勝手に動けば、チーム全体のバランスが崩れてしまいます。 バランスが崩れてスペースが空けば、そこを攻撃の基点に使われたり、スルーパスを通されたりします。
現在、ほとんどのチームがゾーンディフェンスを使っていますが、ゾーンディフェンスであれば、なおさらチームのバランスを考えてポジショニングを取る必要があります。 マーク相手以外のプレーヤーがボールを持っている時は、ボールの位置に応じたポジショニングを取り、マーク相手にパスが出た瞬間に一気に間合いを詰めます。 ポイントは、「ボールが移動している間に、どれだけ間合いを詰められるか?」です。 だからこそ、相手の意図を予測し、出足を速くすることが大切なのです。
<2.勢いに任せて詰め過ぎない>
「どれだけ間合いを詰められるか?」という話をした後で「詰め過ぎない」というのは、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、これも大切なポイントです。 ディフェンスは、ボールがマーク相手に渡る前に、どれだけ間合いを詰められるかが勝負です。 このため、マーク相手にパスが出された瞬間、全力で相手に寄せていきます。 そして、相手より早くボールに触れそうな時は、そのまま全力でダッシュしインターセプトを狙います。 しかし、相手の方が早くボールに触りそうな時も同様に飛び込んでいったら、どうなるでしょうか? 飛び込んでいった勢いを逆に利用され、トラップやワンツーで簡単にかわされてしまうでしょう。 そうならないためにも、インターセプトができない場合は、相手がボールに触った瞬間に一度ストップし、相手の動きに対応できるよう体勢を整えることが大切です。 そして、そこからコントロールミスを狙ったり、前を向かせないディフェンスをしていくのです。
では、「コントロールミスを狙う」、「前を向かせないディフェンス」についてのポイントをそれぞれ見ていきましょう。
【2.コントロールミスを狙う時のポイント】
繰り返しになりますが、コントロールミスを狙うためには、できるだけ相手に寄せ、間合いを詰めておく必要があります。 相手との間合いを詰めることで、相手に対してプレッシャーを与えることができます。 それにより、相手のコントロールミスを誘うことができるかもしれません。 また、間合いを詰めておくことで、相手がコントロールミスをした時に、すぐに奪いに行くことができます。
<ポジショニングの基礎を守る>
ただし、コントロールミスを狙う時も、ポジショニングの基礎を忘れてはいけません。 原則として、ゴールの中心とボールを結んだ線上からアプローチできる場合のみ、奪いに行きます。 例えば、相手がコントロールミスをしても、ボールとあなたの間に相手の体が入っているようなケース。 この場合は、回り込んでボールを奪いにいかなければなりません。 すると、一時的に正しいポジショニングから外れることになります。 この状態で、相手が素早く体勢を立て直し、ボールに追い付いてしまったら大変です。 ディフェンスは、正しいポジショニングが外れているため、ゴールへのコースはガラ空きになってしまっています。 「ボールを奪えるチャンス!」と思ってアクションを起こしたことが、返って仇になってしまうのです。 ポジショニングをずらさないと奪えないような場合は、よほどマイボールにできる自信がない限り、チャレンジすべきではないでしょう。
【3.前を向かせない時のポイント】
しつこいようですが、ここでも間合いを詰めておくことが大切です。 マーク相手がボールコントロールする時、あなたとの間合いから「前を向けるのか、向けないのか?」を判断します。 あなたが十分に間合いを詰めておくことで、「ターン」から「体を入れてボールキープ」という選択肢に切り替えます。 そこで、あなたがさらにプレッシャーをかけることで、相手に前を向かせないディフェンスが可能になるのです。 前を向かせないということは、ボールとあなたの間に相手の体が入っているということです。 この状態では、直接ゴールに結びつくプレーをされるリスクは低くなります。 しかし、ボールを奪うことは容易ではありません。 よく見かけるのが、「前を向かせない状態に持ち込んだは良いが、そこから何をしたらいいのか分からない」という場面です。 結局ポストプレーをされ、次の展開へ持ち込まれてしまうという場面をよく見ます。 では、前を向かせない状態に持ち込んだ後は、何をすればいいのでしょうか?
<1.相手に正確なプレーをさせない>
せっかく相手に背を向けさせたのですから、簡単にポストプレーなど許してはいけません。 この状態からボールを奪うのは難しいですが、相手のプレーを妨害することはできます。 足を出してボールをつついたり、体を寄せたりして相手の気を散らし、正確なプレーをさせないようにするのです。 ただし、手で押したり、相手をつかんだりするとファウルになってしまうので、気をつけましょう。
<2.ゴールから遠ざける>
ゴールに背を向けさせていれば、直接失点するリスクは低くなります。 しかし、そこからポストプレーや、スルーパス、ワンツーなどでゴールに近づくプレーをされるリスクはあります。 そこで、ボールをゴールから遠ざけるようなプレッシャーのかけ方をすることで、これらのリスクを軽減することができます。 プレッシャーのかけ方は、基本どおりです。 ゴールの中心とボールを結んだ線上に立ち、ゴール方向からプレッシャーをかけるのです。 また、マーク相手がボールを離したら、そこで安心するのではなく、すぐ次の展開に備えることが大切です。 今回お伝えしたのは、極めて基本的なことです。 しかし、当たり前のことを、どれだけ高い意識を持って実践できるかが、良いディフェンダーになる条件だと思います。
来週は、プレミアム版の配信日。 優先順位4位の「ディレイ」、「1対1の対応」についてお送りする予定です。 【3分で分かる!サッカー・フットサル上達法 プレミアム】 http://www.mag2.com/m/0001311830.html 上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!! この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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