DFラインを上げる理由を説明できますか? −第194号−

技術レベル:★★★☆☆
【1.ラインコントロールの目的】
なぜ、DFはディフェンスラインの高さを変える必要があるのでしょうか? 「オフサイドトラップをかけるため」と考えた人もいるでしょう。 確かにそれもありますが、一番の目的ではありません。 ディフェンスラインの高さを変える一番の目的は、「相手のプレーエリアをコントロールすること」です。
ご存知のように、サッカーにはオフサイドというルールがあります。 このルールにより、有効なプレーエリアは、両チームのディフェンスラインの間になります。 オフェンスは、このエリアを外れてパスを受けることはできないのです。 <図解> http://soccer-futsal.sakura.ne.jp/194-1.pdf このプレーエリアが広いほどスペースが多くなるため、オフェンスにとっては攻撃しやすくなります。 逆に、プレーエリアが狭いほどスペースが少なくなるため、ディフェンスにとってはプレスがかけやすくなります。 つまり、ディフェンスラインの位置によって、プレーエリアをコントロールすることができるのです。
例えば、前線からプレスをかけたければ、ディフェンスラインを高くすることでプレーエリアが狭くなり、効果的なプレッシングになります。 ディフェンスラインを低くしたまま前線からプレスをかけても、プレーエリアが広くスペースがあるため、効果的なプレッシングにはなりません。 逆に、引いてゴール前を固めたい場合は、ディフェンスラインを低くすることで、自陣ゴール前のスペースを少なくし、ペナルティエリアに入らせないようにすることができます。 <図解> http://soccer-futsal.sakura.ne.jp/194-2.pdf このように、ラインコントロールは、どのような守備をするかに大きく関わっているのです。
【2.ラインコントロールのタイミング】
ディフェンスラインを高くすることで、前線からのプレスが有効になります。 そこでボールを奪うことができれば、ショートカウンターを仕掛ける絶好のチャンスになります。 ただし、闇雲に高くすればいいというわけではありません。 ディフェンスラインを高くすると、ラインの後ろには、大きなスペースができます。 相手FWが、オフサイドに引っかからずに、このスペースでパスを受けると、GKと1対1という決定的なピンチを招いてしまいます。 かといって、ラインを低いままにしておけば、プレスをかけてボールを奪うことができなくなってしまいます。
では、どのタイミングでディフェンスラインを上げればいいのでしょうか?
それは、「オフェンスが前へパスを出せない時」です。 これは、実際の試合に当てはめると、どんな場面があるでしょうか? 少し考えてみてください。 どんな場面がありましたか?
例えば、 ・相手ボールホルダー(ボール保持者)に対するディフェンスがきいている時 ・相手ボールホルダーが背を向けてプレーしている時 ・パスミスなどにより、相手がボールコントロールに手間取っている時 といった場面があります。
相手が前へパスを出せない状態であれば、ディフェンスラインの裏を取られる心配はありません。 こういった時にラインを上げることで、プレスを強くすることができます。 また、ラインを上げている最中に状況が変わり、相手が前へパスを出せる状態になることもあります。 そのような場合は、直ちにラインを上げることを止め、相手の攻撃に備える必要があります。 もちろん、ラインの高さは、個々のプレーヤーが勝手に判断するのではなく、ラインを形成する全員が考え方を共有することが大切です。 そのための方法として、DFリーダーを決め、リーダーがラインを統率する方法が一般的です。 このようにDFは、試合中、常に相手ボールホルダーの状況を見て、ラインの高さを設定します。 近くにボールが無いからといって、ボーっとしている時間はないのです。 今度サッカーの試合を観る時は、プレスの位置とディフェンスラインの高さに注目して観てみましょう。 きっと新しい発見があると思いますよ。 上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!! この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
   ←前の記事に       <サッカー上達法・目次>にもどる       次の記事に→   

inserted by FC2 system