「なぜ?」を考えていますか? −第149号−

技術レベル:★★☆☆☆
メルマガやブログの読者から質問をいただいて、時折感じることがあります。
それは、「自分自身の考えを持っていない」ということです。
この傾向は、特に状況判断やポジショニングなど、戦術に関する質問に多く見られます。
先日も、こんな質問をいただきました。
『ダブルボランチをやっているのですが、守備の時サイドに行き過ぎるのはいけないのでしょうか?』
一見、普通の質問ですが、この文章の中には、「質問者自身は、どう考えているのか?」が一切含まれていません。
このため、私は、この質問に対して、「なぜ、そのように思われるのですか?」という質問を返しました。
私は、質問者自身の考えが含まれていない質問に対して、「質問者自身は、問題に対してどう考えているか」と聞き返すことがあります。
別に、意地悪でこのようなことをしているわけではありません。
「質問者が、どのくらい基礎を理解しているのか?」を確認するために行っているのです。
そして、質問者の回答によって対応を変えています。
【1.質問者の回答が、基礎を理解していないと判断できる場合】
この場合は、まず、質問者に基礎を理解してもらい、その上で、質問にある状況での対応について、私の考えを回答します。
なぜ、そんな回りくどいことをするのか?
例えば、サッカーでは、相手が相手陣内でボールを持っていれば、DFラインを上げます。
なぜ、DFラインを上げるのでしょうか?
なぜなら、DFラインを上げることで、相手のプレーエリアを狭めることができるからです。
オフサイドというルールがある以上、相手がボールを保持できるのは、相手のゴールラインから、こちらのDFラインの間になります。
DFラインを上げると、相手のゴールラインから、こちらのDFラインまでの距離は短くなります。
その結果、相手がボールを保持できるエリアが狭くなります。
これにより、プレスがかけやすくなり、相手から余裕を奪うことができるのです。
しかし、DFラインを上げることで、DFの裏には広大なスペースが生まれます。
ということは、ロングボール一発でピンチになるリスクを背負うことになります。
このリスクを回避するには、相手のボールホルダーにプレッシャーをかけ、正確なパスを出せなくする必要があります。
つまり、DFラインを上げる以上、DFは、味方のFWやMFへ「積極的なディフェンスを仕掛ける指示」を出さなくてはならないのです。
こういった基礎を理解せず、「相手陣内にボールがある時は、DFラインを上げる」と機械的に覚えているだけだと大変です。
DFラインを上げても、相手にプレスがかからず、逆にロングボール一発でピンチを招くことになりかねません。
1つ1つのアクションに対し、「なぜ、それを行うのか?」を理解していれば、応用を利かせて、様々な状況に対応できるようになります。
逆に、「なぜ、それを行うのか?」を考えず、「こういう時は、こうする」と機械的に覚えているだけでは、その状況にしか対応できなくなってしまいます。
だからこそ、「なぜ?」を考え、基礎を理解することが大切なのです。
【2.質問者の回答が、基礎を理解していると判断できる場合】
この場合は、質問にある状況での対応について、私の考えを回答します。
基礎を理解していれば、試合中の様々な状況に、応用を利かせて対応できます。
基礎は1つですが、応用の仕方は人の数だけあります。
他人の考えを参考にすることで、自分の頭だけでは思いつかなかった応用の仕方を閃くこともあります。
そんな閃きの触媒になれば良いという思いから、私の考えを回答しています。
ただし、あくまで私の考えなので、「答え」として捉えるのではなく、「ヒント」として捉えていただきたいと思っています。
さて、冒頭に紹介した方ですが、私が質問を返して4週間経ちますが、残念ながら、まだ回答は頂いていません。
回答をいただけない真意は分かりません。
もしかしたら、ご自身で考えた結果、答えが出たので、もう私の回答は必要なくなったのかもしれません。
それならいいのですが、「自分で考えるのは面倒くさいから、もういいや」ということだとしたら、非常にもったいないことだと思います。
確かに、自分の頭で考えることは、面倒くさいことです。
しかし、サッカー・フットサルの上達には、自分の頭で考えることが不可欠です。
質問されたケースについてだけ回答してもいいのですが、それでは本当に質問者のためになるアドバイスにはならないと、私は考えています。
質問者のためになるアドバイスをするためにも、質問者自身の頭で考えていただく。
面倒くさいと思われても、このスタイルは変えずに行きたいと思っています。
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!!
この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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