ドリブルを使う際、意識しなければならない事とは?(1) −第127号−

技術レベル:★★★★☆
「意識しなければならない事」というのは、主に戦術に関する事になります。
今回は、その1つ、『ドリブルの使い分け』についてお送りします。
試合中、ドリブルを使う時、「ドリブルしたいから、ドリブルをする」という理由で使うプレーヤーがいます。
しかし、このようなドリブルの使い方をしても、効果的なプレーにはつながりません。
普通に考えれば当たり前の事なのですが、結構こういうプレーヤーが多いのです。
ドリブルを効果的に使うには、目的をハッキリさせて使う事が大切です。
ドリブルには2種類の使い方があります。
1.突破のドリブル
2.タメを作るドリブル
使い方によって、意識しなければならない事が異なります。
では、1つずつ見ていきましょう。
【1.突破のドリブル】
相手をかわしたり、抜き去ったりするドリブルです。
「これぞ、ドリブルの醍醐味!」とも言えるプレーですね。
突破のドリブルは、「相手をかわしたら終わり」ではありません。
その後には、シュートやラストパスといったゴールにつながるプレーがあります。
つまり、突破のドリブルは、シュートやラストパスという目的を果たすために、自力でコースを作り出す手段なのです。
突破のドリブルで、まず意識しなければならない事は「使う場所」です。
突破のドリブルは、その性格上、主にアタッキングサード(フィールドを3分割した内の相手ゴール側のエリア)で使います。
その中でも、バイタルエリア(得点につながりやすい活動が起こるエリア)は、相手にとって、最もファウルを避けたいエリアであるため、ドリブル突破は脅威を与えるプレーになります。
ただし、突破のドリブルは、ボールを失う可能性の高いプレーであるため、これ以外の場所で使うのは、極力避けるべきでしょう。
また、「ドリブルする時間」も意識する必要があります。
アタッキングサードは、相手のプレッシャーが強く、時間もスペースも限られるエリアです。
そのため、目の前のDFをかわすのに、じっくりと時間をかけているヒマはありません。
このエリアでは、相手を完全に抜き去る必要はありません。
相手ゴールに近いため、相手をかわしてコースを作れば、シュートやラストパスにつなげることができます。
できるだけ時間と手数をかけず、シンプルな方法で相手をかわすのが、ベストなプレーと言えるでしょう。
【2.タメを作るドリブル】
シュートやラストパスのためのコースを作り出すのが突破のドリブルなら、こちらは時間を作り出すドリブルです。
サッカーは、ボールを持てば相手が寄ってくるスポーツです。
その特性を利用すると、ドリブルで相手を引き付け、味方がフリーになる時間を作り出すことができます。
その結果、スルーパスや壁パスなど、相手の守備を崩すプレーが可能になるのです。
タメを作るドリブルでも、「使う場所」を意識しなくてはなりません。
状況にもよりますが、主にハーフウェイラインより相手陣側で使うことが多くなります。
これより低い位置では、失敗してボールを奪われた時のリスクが高いからです。
プレスが激しくなった現代サッカーでは、その中でも比較的プレッシャー少ないサイドで使われることが多くなっています。
例えば、サイドでボールを受け、その場でタメてチャンスを作るプレーや、サイドから中央へのドリブルで、相手DFにマークのズレを生じさせてチャンスを作るプレーなどがあります。
また、「ドリブルのコース」も意識しなければなりません。
サッカーは、ボールが動くと周りのプレーヤーも動きます。
あなたがドリブルをすると、周りのプレーヤー(味方も相手も)は、そのドリブルのコースに応じて動くのです。
つまり、タメを作るドリブルを効果的に使うには、次の事を考えておく必要があります。
・どんなコースにドリブルするのか?
・そのドリブルコースを取ることで、周りのプレーヤーはどのように動くのか?
例えば、サイドから中央へドリブルすると、周りのプレーヤーは、次のように動くことが考えられます。
あなたをマークしている相手は、あなたの動きに付いて中央へ動く。
       ↓
あなたが今までいたサイドのポジションにスペースが空く。
       ↓
味方は、そのスペースを使うことができるようになる。
       ↓
味方サイドバックがそのスペースへオーバーラップする。
       ↓
フリーの味方サイドバックを使ってチャンスを生み出すことができる。
また、同様にサイドから中央へドリブルする場合、次のようなケースも考えられます。
あなたをマークしている相手をうまくかわして、中央へドリブルすることができた。
       ↓
マークをかわした瞬間、あなたはフリーになる。
       ↓
あなたにプレッシャーをかけるために、別の相手DFが寄って来る。
       ↓
その相手DFがマークしていた味方がフリーになる。
       ↓
フリーになった味方を使ってチャンスを生み出すことができる。
「ドリブル=突破のドリブル」と捉えがちです。
確かに突破力は、個人にとっても、チームにとっても大きな武器になります。
しかし、突破だけでなく、ドリブルを戦術的に使い分けられるようになると、もっと怖いプレーヤーになることができます。
また、もっとサッカーが楽しいものになるでしょう。
このような「戦術的なドリブルの使い方」については、こちらのDVDが参考になります。
      ↓↓↓↓↓
【早野宏史】サッカースーパープレイヤー育成DVD
こういったDVDのドリブルは、DF役が抜かれる演技をしているので、あまり参考にならなかったりします。
しかし、このDVDでは、ガチの練習のシーンを使って解説されているので、イメージがつかみやすくなっており、そういった点でもおすすめの教材です。
【ドリブルの使い分けで参考になるプレーヤー】
突破のドリブルと、タメを作るドリブルを参考にするのに、ちょうど良いプレーヤーが日本代表にいます。
香川真司選手と本田圭佑選手です。
香川選手は、スピードと切れを活かした突破のドリブル。
本田選手は、体の強さを活かしたタメを作るドリブル。
両者とも、自分の特徴をよく知った上で、ドリブルを効果的に使っているプレーヤーです。
アジアカップでも、この2人のドリブルからいくつもチャンスが生まれました。
アジアカップを録画していた人は、2人のドリブルの使い方に注目して見直してみると、新たな発見があるかもしれませんよ。
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!!
この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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