足が速くないとドリブラーになれないのか? −第161号−

技術レベル:★★★☆☆
読者の方から、「ドリブラーになるには、足が速くないとダメなのですか?」という質問がありました。
あなたは、どう思いますか?私は、次のように考えています。
確かに身体能力が優れてれば、ドリブルをする時に有利になります。 足が速ければ、スピードを活かした突破をすることができます。 前方にスペースがあれば、低い位置でパスを受けても、スピードを活かして相手陣内までボールを運ぶことができます。 身体が強ければ、それを活かした強引な突破や、ボールキープをすることができます。 相手DFに強く当たられるようなFWの位置でパスを受けても、体の強さを活かして前線でタメを作ることができます。 しかし、このような身体能力を持っているプレーヤーは稀です。
だからこそ、目立つわけですが・・・ では、平均的な身体能力のプレーヤーは、身体能力の優れたプレーヤーのひき立て役にならなければならないのでしょうか?
私は、そうは思いません。 身体能力で勝負できない分は、技術や戦術でカバーすればいいのです。
足が遅いプレーヤーは、足の速いプレーヤーのように、スピードを使って長い距離をドリブルすることはできません。 同じようなプレーをしようとしても、すぐに相手に追いつかれて囲まれてしまいます。 それならば、ドリブルの使い方を考えればいいのです。
例えば、「相手をかわしてパス」というプレーをすれば、相手に追いつかれることはありません。 パスをした後に、リターンパスを受けられるように走れば、ドリブル突破と同じ効果があります。 このプレーには、足の速さは関係ありません。相手をかわすドリブルの技術があればいいのです。
また、「ドリブルを使うのは相手陣内に入ってから」など、ドリブルを使う場所を工夫することも、ドリブルを有効活用する方法の1つです。 相手陣内の高い位置でドリブルを使えば、「かわしてシュート」や「かわしてスルーパス」といったプレーが可能になります。 かわすドリブルだけでも決定的な場面を作ることができるのです。 また、「ドリブルを使う場所」について自分なりの基準を持っていると、ボールを持った時、パスかドリブルかで迷うことが少なくなるというメリットもあります。
体の小さなプレーヤーは、大きなプレーヤーのように、強引に突破したり、相手をブロックしてボールキープすることはできません。 同じようなプレーをしようとしても、相手に当たられてつぶされてしまいます。 それならば、パスの受け方やボールの持ち方を考えればいいのです。
例えば、パスを受けるスペースに入るタイミングを工夫し、フリーでパスを受け、ワントラップで前を向けば、相手はそう簡単に飛び込めません。 このようにして相手と一定の間合いを確保できれば、相手に当たられることはありません。 このプレーには、体の大きさは関係ありません。 パスを受けるスペースとタイミングを考える個人戦術、ワントラップで前を向く技術があればいいのです。 この点についての詳細は、こちらを参考にしてください。【サッカー・フットサルのスペース活用法(攻撃編)】
足の速さ、体の強さといった身体能力は先天的要素が強く、努力による伸びしろは、それほど広くありません。 楽天イーグルスなどで監督を務めた野村克也氏は監督時代、「努力ではどうにもならない力を持った選手」を見つけてくるよう、スカウト陣に要請していたそうです。 足の速さ、肩の強さ、打撃の飛距離といった能力は、先天的な能力であり、努力で伸ばせる範囲には限界があるからです。 たとえその選手が技術的に未熟でも、「そんなものは、これからの努力と指導の仕方でどうにでもなる」と考えていたそうです。
ここまで読んで、「やっぱり身体能力が高くないとダメなんだ・・・」と絶望的にならないでくださいね(笑)
逆に考えれば、「技術や戦術などは努力次第で伸ばすことができる」ということです。 足の速さが並みのプレーヤーが、足の速いドリブラーと同じようなプレースタイルを望むのであれば、それは「足が速くなければダメ」ということになるでしょう。 しかし、サッカー・フットサルは、身体能力だけで行うスポーツではありません。 身体能力で勝負できないのであれば、技術を磨く、考えてプレーするという違う土俵で勝負できるスポーツです。 あなたの武器が何なのか考え、それを活かしたドリブルスタイルを確立すれば、それは立派なドリブラーと言えるでしょう。
上達には、「自分で考え、実践する」ことが不可欠!!
この情報を、自分で考える上でのヒントにしていただければ幸いです(^−^)
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